木津 虎について | About Tora Kizu

2008年、岡山生まれ。
15歳で起業し、デザインの受託制作事業を始める。
17歳でうつ病を患い、自己表現の一環としてアートを始める。
アートを始めて二週間、始めて制作した作品が第82回現展入選。
現在17歳、高校3年生。

The Flowers シリーズ

私は、花の美醜とは、花実体の美醜ではなく、花と接続されている記憶の美醜によって、決定されているという仮説を立てた。

その説に立脚し、花を抽象化し描くことで、鑑賞者とその花との記憶の最大化を目指している。

あなたと、その花との、素敵な対話の時間になりますように。

The Moments シリーズ

1日が24時間では足りない、と誰もが心のどこかで焦燥を抱えている。
あまりに早く通り過ぎていく日常のなかで、僕たちは立ち止まることすら許されないまま、大切な季節や、愛おしいはずの些細な「動き」を、次々と背後へ置き去りにしていく。

すくい取る間もなく消えていく、刹那の残像。
それをあえて冷たく、硬質なメタリックの光沢で包み込み、平面の世界へと凍結させた。

本来なら溶けて消えるはずだった一瞬の動線が、金属の肌をまとって、静かな質量を持ち始める。
流れ去る時間への、これはささやかな抵抗である。

触れれば冷たく、けれどどこか体温の記憶を残す。
瞬きの隙間にこぼれ落ちたあの光は、今この硬質な静寂のなかで、一生の長さを手に入れる。

The Anonymous シリーズ

この作品群は、誰もが知る歴史的アイコンの肖像を、キュビズム的な多面体と抽象化された平面にまで解体・再構成する試みである。

これは、外見至上主義へのアンチテーゼであり、私たちが偶像の『認知』を可能にする最小限の象徴的コードとは何か、
そして外見という表層を剥ぎ取った後に残るものは何かを問うている。

鑑賞者は、この抽象化された平面から、かつて愛された偶像の『本質』、あるいは自分自身の投影を見出すことができるだろうか。
認知の限界と、外見に縛られた認識の脆さを問いかける、知覚の実験である。